マテリアル説明その9 -建築計画編
設計する中で大切にしているものの一つに、スケール感があります。あまり馴染みのない言葉ですし、学生の頃や設計したての頃はあまり気にしなかった事なのですが、設計の回数を重ねるうちに非常に重要な事だと認識するようになりました。平面的な広さは土地の形状や居住者の人数、または予算などの要因で決定されていきますが、天井の高さはほとんどが設計者の思想のようなもの、デザインセンスで決められています。適切なスケール感を表すのにヒューマンスケールなのか否かといいますが、建築の空間を利用するのは人間ですから、その人間が利用するのに丁度良いかどうかが問われます。もちろん空間の用途にもよりますが、天井が高いと開放的で、同時に不安定な、悪く言えば間抜けな空間になりがちです。低いとうっとうしくもありますが、落ち着く感じもします。その丁度よいところを探るのが設計のポイントの一つです。私はよく傾斜の天井をつくります。傾斜の低い方はほんとに低いです。しかし、高いところとのバランスでうっとうしさは感じられない、そんな設計がいいのではと思っています。
